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SMARTでは目標を設定できない

目標を設定する

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目標というのはとても重要です。目標の立て方で社員のモチベーションが湧き、社内の雰囲気も変わります。会社の成長は目標設定で決まると言っても過言ではありません。目標設定を成功させるには、その目標が誰にとっても明確であることが重要です。

1. SMARTゴールという目標設定

目標を明確に設定するために5つの要素の頭文字をとったSMARTから「SMARTゴール」という目標設定方法の重要性が提唱されています。

2. SMARTとは

  • 要素1:Specific(具体的で)目標の方向性だけでなく、「具体的」な表現になっているか。
  • 要素2:Measurable(測定できて)目標が可能な限り「数値化」「定量化」されているか。
  • 要素3:Achievable(達成可能で)目標は「達成可能」なものになっているか。
  • 要素4:Related(組織のミッションに沿っていて)目標の「内容」は本人の業務から見て妥当性のあるものになっているか
  • 要素5:Time-bound納期・スケジュールが示されているか。

3. SMARTゴールの欠陥

このSMARTゴール考え方で決定的に欠けていることは、「いつまでに、何が、どういう状態になっているのか」というBe目標の発想です。この発想がないと目標設定になりません。

4. Be目標とDo目標という考え方

Be目標は「いつまでに、何が、どういう状態になっているのか」という客観的な状態を表現します。目標が達成されたら、どういう状態がつくりだされているのか、その状況を頭の中でリアリティを持って描いて、言語化するのです。Do目標はそういう状態をつくりだすために、行う行動目標になります。

5. Be目標とDo目標の混同

Be目標とDo目標は混同されやすいのです。

例えば、部下育成ということが大きな解決すべき問題と理解している管理職はどういう目標の立て方をすればよいのでしょうか。

部下を育成するということは、単に何をしなさいという指示・命令に終わる指導ではなく、部下に足りない能力を身につけさせていく育成が中心になります。そのためには育成する時間の量と質を確保しなければなりません。

そのためにこういう目標を設定しました。

「部下を育成するために、これから半年間、部下との1対1のミーティングを週に1時間設ける」

SMARTの観点に照らし合わせてみていきましょう。

要素1の要件である、具体的な表現になっているかといえば、1対1のミーティングをするというように具体的ですよね。

要素2の要件でも週に1時間と定量化・数値化されていますね。

要素3の達成できるということも案件を満たせるでしょう。

要素4の組織のミッションに従っているのも問題ないですね。

そして要件5の期限も半年と区切っていますね。それではこれで完全な目標設定になったでしょうか?

残念ながら、これでは十分ではありません。SMARTの観点はこうなったらいいよねというフレームを与えてくれるだけのもので、目標の設定の方法を教えてくれるものではないのです。

目標設定で一番大切なことはBe目標とDo目標を明確に分けて、表現することなのです。Be目標の設定が最も大切になります。「いつまでに、何が、どういう状態になっているか」がBe目標なのです。

そしてそのためにすることがDo目標なのです。このBe目標とDo目標をごっちゃにしてしまう人が実に多いのです。

「部下を育成するために、これから半年間、部下との1対1のミーティングを週に1時間設ける」という目標はBe目標ですか、Do目標ですか?

答えからいうと、Do目標です。

単にミーティングをやるという行動目標を設定しているだけだからです。1対1のミーティングをやると具体的に書いてありますし、週に1時間というように、定量化・数値化されていますので、SMARTの観点が抑えられているように見えますが、半年後に部下にどのような能力が身についているのかが全く設定されていないからです。

6. Be目標で目標を設定する

例えば、部下が営業でまだ1人で総合提案をつくれないとすれば、「半年後までに、部下が一人で総合提案をつくれるような商品知識や技術的スキルを身につけるようにさせる」というのがBe目標なのです。

そしてDo目標がBe目標を達成させるための行動目標になるのです。即ち、Do目標が「部下を育成するために、これから半年間、部下との1対1のミーティングを週に1時間設ける」ということなのです。

7. SMARTゴールだとDo目標に終わる

多くの目標設定講座の現場で言われているSMARTの観点だけでは、Be目標の発想がなく、Do目標に終わってしまうことが多いのです。この点を注意していきましょう。