前向きになれる目標達成型アプローチ
問題には2種類あって原因が特定できる問題と原因が複雑で特定できない問題があることを知る必要があります。製造業で不具合の製品がでてしまったら、徹底的にその原因を追究しなければなりません。またソフトウェアのプログラムにバグがあってうまく機能しなければ、その原因を取り除かなければなりません。このような原因追求は問題解決型のアプローチです。
ほとんどの人がこの問題解決型のアプローチしか知りません。そのために原因が特定できない問題にもこのアプローチで解決しようとするのです。
例えば新入社員の営業マンがなかなか売り上げを上げられず、毎月目標に達成しないとします。その営業マンが成長できない原因を探っていたらどうでしょう。「なぜこういう結果になったの?」「原因は何?」と追求しても答えられないでしょう。
「なぜだ!」と言われても、原因はわからないのです。そのためこういう質問をされると思考が停止してしまいます。そして責められている気持ちになります。ところが未だにこういうアプローチを取り続けている上司が多いのです。
私も長年営業をやってきました。30歳のときに初めて転職をして、商社から出版社に入ったのです。広告の営業をしましたが、そこの広告部長は鬼と呼ばれ、業界でも有名な人でした。広告会社に挨拶に行ったら、その営業部は今までに30名以上が辞めているよと言われてビックリしました。
毎晩、営業は帰社するのが20時ぐらいになります。それから日報を書いて、部長に報告するのです。そうすると「なぜ売れなかったんだ」という査問が始まります。それで23時ぐらいまで責められるのです。私も1年でそこを辞めてしまいました。
こういう時は問題解決型のアプローチではなく、目標達成型のアプローチを取ることが大切なのです。「どうなりたいのか」という目標を明確にしていくことが大切なのです。
問題と目標はコインの裏・表のようなものです。問題解決は「問題を解決するというゴール」を求めます。目標達成は「目標を達成するというゴール」を求めます。両方とも「得たいゴール」は同じなのですが、アプローチ方法が違うのです。
問題解決は現状をマイナスとみて、あるべき姿(プラスマイナスゼロ)になるために過去に起きた原因を追究してそのギャップを埋めようとします。目標解決は現状を肯定して、未来のなりたい状態をつくりだしていきます。
目標達成型アプローチではこのような質問をします。
・「どういう状態になりたいですか?」
・「上手くいっていることは何ですか?」
・「上手くできていることを最高にやったらどういう状況がつくれますか?」
・「他にどんな選択肢がありますか?」
このような目標達成型のアプローチで質問されると、目の前の問題を解決するために、いろいろなアイデアが湧いてきます。営業目標に達成できていなくても、次にどういうことをすれば達成できるのか考えることができます。
上司は部下がうまく行かないときに、「上手くいっていることはなんなの?」ということを引き出してあげればよいのです。「上手くいっていることを最高にやったらどうなる?」、「どういう姿になりたいの?」という未来をつくる質問をして、一緒に考えてあげることが大切なのです。
あなたも今日は目標達成型のアプローチで沢山のよいアイデアを生み出しゴールを達成してください。