強みを活かそう
今の時期、企業は新入社員研修に力を入れているでしょう。そして研修が終わるとそれぞれの職場に配属されます。そうすると上司や先輩社員が新人をOJT(職場で仕事をやらせながらトレーニングをさせること)通じて指導することになります。
企業の上司の大半は部下を育てるときに大切にしていることがあります。それは、その人の足りないところ、できないところを見つけだし、そうした弱みを克服させることが人材育成だと思っているのです。
本当にそうでしょうか?
不得意なことを改善しようと努力をさせても、一生懸命にやってもせいぜい平均点を取れるぐらいにしかなれません。それよりも、強みを伸ばしてあげて、弱みをカバーすることの方が効果あることがポジティブ心理学の研究から明らかになっています。
「上司から強みをフィードバックされた従業員」は生産性が7.8%高くなり、離職率は14.9%低くなったそうです。経営者が従業員の強みに着目していると73%の従業員が仕事に対する熱意を持つことが研究から分かっています。
経営の神様であるピーター・ドラッガーは、ポジティブ心理学が「強み効果」を科学的に証明するずっと前から強みに着目していました。彼は『人が雇われるのは、能力のゆえであり強みのゆえである』『部下の弱みに目を向けることは間違っているばかりか無責任である』と言っています。
上司たる人間はポジティブ眼鏡をかけて、部下のよいところや強みを見つけてそれをフィードバックしてあげる必要がでてきたのです。
ところが今まではネガティブ眼鏡をかけて、部下のできていないところや弱みを見つけようとしていたので、いきなりポジティブ眼鏡にかけ替えて部下のよいところや強みを見つけようといってもなかなかできないのです。
そういう人は部下への声のかけ方を変えればよいのです。「うまくいっていることはなに?」という質問からスタートするのです。そして部下とうまくいっていることはどういうことなのか、一緒に考えていくのです。そうすると自分もポジティブなことに意識が向き、部下の強みを見つけることができます。
私たちは自分に対しても、できていないところ、足りないところを見つけ出し、それを何とか克服するようにしようと努力しようとします。できているところ、うまくいっていることをほとんどみようとしないのです。できていることが当たり前のことに感じやすいからです。それは実にもったいないことです。
自分の強みを見つめ、それを活かしていくほうが仕事の成果が確実にあがります。強みを活かしていると私たちは力を入れずに頑張れ、自分らしく感じることができます。なによりも楽しく仕事をすることができます。
弱みを克服すべく、楽しくないのに我慢しながら、歯を食いしばって仕事をやっているというのはもう時代遅れだということを知る必要があります。
あなたも今日は自分の強みを発見して、それを活かしていきませんか。