悪いポジティブとよいネガティブ
ポジティブ心理学はポジティブ・シンキングとは違います。ポジティブ・シンキングはネガティブなことを排除して、「なんでもかんでもポジティブに考える」という考え方です。一時期アメリカでポジティブ・シンキングがブームになり、だれもがポジティブに考えればハッピーなれて最幸の人生を歩めると信じていました。
ポジティブ心理学はネガティブなことの大切さを強調します。ポジティブにも「良いポジティブ」と「悪いポジティブ」があり、ネガティブにも「悪いネガティブ」と「良いネガティブ」があるのです。
「悪いポジティブ」というのは「リスクや影響を考えない」、「周りの人の気持ちを考えない」、「独りよがり」というのがあります。
羽田空港で、大型の台風が近づいてきている日に、機長が「今は風が弱いから大丈夫だ。離陸しよう!」と言ったらそういう飛行機に搭乗したいと思いますか?この機長のようにノーテンキでリスクを考えず、勢いで物事を進めようとする人がいます。こういうのは「悪いポジティブ」です。
「良いネガティブ」というのは「悪いポジティブ」の反対になります。「リスクを予言して行動を判断する」「愛を持って叱る」ことがあります。物事のネガティブな面を考えるのですが、危機管理や部下の指導にはとても大切な考え方になります。
「悪いポジティブ」と「よいネガティブ」をしっかり考えて物事に当たる必要があります。最近も山や海の事故が多いですが、これは「よいネガティブ」な視点で危機管理をしっかりしていれば防げた事故が多いということです。「悪いポジティブ」な考えで、これならきっと大丈夫と思うと思いがけない事故に巻き込まれる可能性があるのです。
昨年3月に那須で起きた大田原高山岳部の雪崩事故は生徒7名、先生1名がなくなりましたが、これは典型的な「よいネガティブ」という視点での危機管理ができていなく、危険な場所に「大丈夫だろう」という「悪いポジティブ」な考え方が原因です。
台風がきて、川の水が増水して危険だから身に行ってくるといって川に流されて亡くなる人も多いです。いつも行っているところだから大丈夫だろうという「悪いポジティブ」な考えは捨てなければなりません。
このようにポジティブ心理学は「なんでもかんでもポジティブが一番だ」ということは言っていません。ポジティブとネガティブの良い面と悪い面をしっかり理解して、バランスよく使い分けることが大切になります。
あなたも今日はポジティブとネガティブのバランスをとって有意義な一日にしませんか?